パラウェーブNAGANOカップ2024県大会の会場である長野県立武道館から最後のレポートをお届けします。前日から県内各地で雪が降り、当日は会場周辺もうっすらと雪化粧(ゆきげしょう)。県内の高速道路では軒並みタイヤ規制が敷かれましたが、幸いにも通行止め等はありませんでした。参加者の皆さんは、無事会場に到着です。
本来であれば、地区予選を勝ち抜いた35チームが、パラウェーブカップをかけその技量を競い合っていただくはずでしたが、中信大会で旋風(せんぷう)を起こした「明南小学校MSMH」と南信大会でしっかりとその足跡を残した「バットガイズ」の2チームが、残念ながら出場できませんでした。来年はぜひ体調を整え、県大会出場を目指して頑張ってください。
県大会には、157名33チーム(ゲストチームを除く)が参加します。2024年の長野県ボッチャを締めくくるにふさわしい、素晴らしい戦いを期待します。
本日は、主催者を代表しスポーツ振興課長の井澤からあいさつを申し上げます。何より、地区大会から一貫して大会を支えていただいた、長野県ボッチャ協会、審判員の方々に感謝です。規律(きりつ)ある的確なジャッジが、手軽に楽しめる「ボッチャ」を、格式ある競技スポーツ大会へと昇華(しょうか)させる後押しとなりました。
選手宣誓は南信大会の覇者(はしゃ)「大町南小ボッチャーズ」です。息のあった5人から、この大会やボッチャに対する熱い想いが、会場中に響き渡ります。
本日の審判長で長野県ボッチャ協会所属の小坂氏から、競技ルールなどの説明をいただいた後、ゲストから、自己紹介を兼ね一言ずついただきます。2024年の長野県スポーツ界を語るにふさわしい3名です。
いよいよ県大会の競技開始です。
最初に9グループで予選リーグを争います。グループ1位は無条件で決勝トーナメントへ進出、2位チームの中で上位7チームまでが、決勝トーナメントに駒を進めます。
また、ゲストは「信州アスリートチーム」としてリーグ戦に参加いただき、午後は交流戦に出場します。ゲスト3名のうち、藤澤さんはボッチャの経験がありますが、矢澤さん、岡本さんは未経験者です。
ゲストの皆さんに本日の予定を説明する際、私はうっかり「全力で勝ちにいっていただいて構いません。本日の出場チームは地区大会を勝ち抜いた精鋭(せいえい)揃いです。恐らく勝つのは難しいでしょう。」と口を滑らせてしまいました。結果としてこの一言が、アスリートの闘争本能(とうそうほんのう)を呼び起こす「呼び水」となってしまいました。これが、「信州アスリートチーム(ゲストチーム)」が参加した第2グループの試合結果です。
3戦全勝の勝ち点9です。予選リーグ3勝のチームは、ほかに昨年のチャンピオン「JBP」しか存在しません。
大会規定によりゲストチームは決勝に進めませんが、初めてのボッチャでこの成績。試合を重ねるごとに「ボッチャ」にフィットしていき、鋭く正確なショットの繰り返し。アスリートの底力(そこじから)に畏敬(いけい)の念を抱き、その快進撃は、決してフロック(偶然)ではないことを感じさせました。
今年のパラウェーブNAGANOカップでは、小学校や家族で参加する児童の活躍が目につきました。また、県大会で活躍するチームもたくさん現れました。「(安曇野市立)明南小学校雷鳥」は、全チーム中4位の成績で決勝トーナメントに突入し、ベスト8です。御代田北小学校の3年生で構成する「3-2 ボッチャーズ」も同じくベスト8。「大町南小学校ボッチャーズ」も、今年のチャンピオンチームをタイブレイクに追い込む大健闘。「小学生が大人を倒す。」ボッチャならではの醍醐味(だいごみ)ではないでしょうか。
各コートで熱戦再開です。
泣いても笑っても、後2時間後には、決勝トーナメントに出場する16チームから今年のチャンピオンが決まります。
また、希望するチームが出場することのできる交流戦ですが、本日はわざわざ全県から集まっていただいたこともあり、3試合ずつ組ましていただきました。
決勝トーナメントに残れなかったとはいえ、本日の参加チームは地区予選を勝ち抜いた猛者(もさ)です。ストレスのないリラックスでのスローは、さらに精度を増し、「ナイスボッチャ」の連発です。2階席から見ると、ジャックボールの周りに赤青のボッチャが密集しています。まるで花のようです。
第1コートでは、今年のチャンピオンを決める試合、「幅下ボッチャをやろう会 対 佐~久るボッチャB」の対戦が始まりました。
「幅下ボッチャをやろう会」は、職場仲間で編成された全員20代の若いチーム。「佐~久るボッチャB」は、ボッチャを楽しむシニアの仲間が集まっての参加です。コートの周りには大会最後の大一番を見ようと、たくさんのギャラリーが取り囲んでいます。
第1エンド。青の「幅下ボッチャをやろう会」が終盤までジャックボールにピタリとボールを密着させ、試合を有利に運んでいきます。試合終盤、「佐~久るボッチャB」のショットがこの青のボールを大きくはじく起死回生(きしかいせい)のショット、0-1から4-0の大逆転。このミラクルショットで「佐~久るボッチャB」は大幅なアドバンテージを得ました。
第2エンド開始。このレベルでの4点差はとても大きな差です。「佐~久るボッチャB」は、このリードを活かし、ジャックボールを囲うようしっかり赤の壁をつくり、大量得点をさせない作戦です。第2エンド「幅下ボッチャをやろう会」を僅(わず)か1点に抑え、「佐~久るボッチャB」が初の栄冠を勝ち取りました。
これより、パラウェーブNAGANOカップ2024の閉会式です。
優勝した「佐~久るボッチャB」の皆さんおめでとございます。ぜひ、「BOCCIA JAPAN CUP2025」では、長野県代表としてリーグ戦突破を目指し頑張ってください。他のチームも本当に紙一重だったと思います。
1位 「佐~久るボッチャB」
2位 「幅下ボッチャをやろう会」
3位 「JBP」
3位 「空」
県大会に出場したみなさん。地元にもどり、色々な方と「ボッチャ」を通じた交流を深めてください。
また、その技量の高さを活かし、時には審判、時にはコーチとなり、多くの県民に「ボッチャ」を広めてください。
パラウェーブNAGANOカップ2024も今までにない多くのチームが参加いただき、大盛況(だいせいきょう)のうちに幕を閉じました。
審判の皆さん、スムーズな競技運営にご協力いただき本当にありがとうございました。令和元年から今年で6年目。長野県がいち早く「ボッチャ」の特性に着目し、共生社会を具現化(ぐげんか)するものとして、日本財団パラスポーツサポートセンターの支援を受けながら、皆さんの力でパラウェーブNAGANOカップを育ててまいりました。
大会では、参加した皆さまから毎回アンケートをとっております。その中には、「もっとボッチャを楽しみたい。」「勝負にこだわりすぎて参加しにくい。」などの意見も寄せられています。
『パラウェーブNAGANOプロジェクト』は、スポーツを通じた共生社会づくりの実現を目指しており、その一環として「ボッチャ」を活かし、大会を開催しています。「ボッチャ」を広めるためには、県大会でチャンピオンを決める現在の方式が適切と考えていましたが、大会6年目を終えた今、このような声も大切にしなければいけません。
障がいのあるなしに関わらず、そこに居場所があり、楽しんでいいただける大会とは。主催者として、今後の運営のあり方も含め、考えてまいります。
(長野県スポーツ振興課 田嶋 弘之)
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