ボッチャ東京カップ2024レポート【前編】

ボッチャ東京カップ2024レポート【前編】

パラウェーブNAGANOカップの激闘から約4カ月。
ボッチャ東京カップ2024の出場権を獲得した「JBP」に密着し、皆さんにボッチャ東京カップ(3月9日、10日開催)の激闘の様子とその魅力をお届けします。

ボッチャ東京カップとは?
ボッチャ東京カップは障がい者の有無に関係なく参加できるインクルーシブ大会で、一般の人がボッチャ日本代表「火ノ玉ジャパン」と真剣勝負できる可能性のある唯一の競技会です。
代表チームのほかにも豪華アスリート・タレントチームが毎年ゲストとして登場して華々しく行われ、一般のチームにとっては「最高峰」の憧れの舞台です。
一般のチーム、は予選会か出場権の与えられた地域の大会を勝ち抜いて出場します。
当初は出場権が与えられる大会は首都圏が中心でしたが、2022大会からパラウェーブNAGANOカップがら初めて地方大会の代表として参加しました。今大会は長野県以外にも北海道、福島県、静岡県、大阪府、秋田県大館市、鳥取県米子市大会の代表が参加し、近年は「全国大会」の様相も見せています。
予選会や首都圏の大会を勝ち抜いたチームはレベルが高く、近年の東京カップでは「火ノ玉ジャパン」が中々優勝できないほど。パラウェーブNAGANOカップ代表も2年で1勝5敗(1勝はタレントゲストチーム)という状況です。
「JBP」紹介
この最高峰の舞台にNAGANO代表として臨むのが「JBP」。北佐久郡立科町役場の若手職員で構成されたチームです。
パラウェーブNAGANOカップは常連で2023大会は激戦の東信大会を優勝で勝ち抜け、そのままの勢いで県大会も優勝しました。
東信大会は予選リーグで2022大会王者を破り、1エンドも取られることなく完全優勝。
県大会では予選リーグでゲストチームに引き分けた以外は全てタイブレイクなしで勝ち進み、この大会では一つ頭の抜けた実力を披露してくれました。

会場は東京都武蔵野市総合体育館。大きな体育館というわけではありませんが、古くから市としてボッチャを応援しており、過去の東京カップの多くがこの会場で開催されている「聖地」です。

武蔵野市総合体育館の外観

大会は様々な構成の40チームが5チームごとに分かれ、総当たりの予選グループ戦を行います。

各リーグ1位のみが決勝トーナメントに進出でき、狭き門となります。

決勝・3位決定戦以外は2エンド制で、ルールはほぼ「パラウェーブNAGANOカップ」と同様ですが、予選リーグから5分の「持ち時間制」があり、試合前のウォーミングアップとエンド間も時間が決まっており、より公式競技規則に近いルールが採用されています。

開会式の様子

開会式に整列する参加者

おなじみの光景となった協賛企業による「ラジオ体操」

「JBP」は町役場の兄弟チームも応援に。手作りの横断幕と旗も用意して気合十分。
「県内無敵」のチーム、いざ全国に挑戦です!

東京カップ用に制作した横断幕と小旗

 

第1試合 vs川崎ボッチャーレ

最初の試合は、神奈川県川崎市の大会を勝ち抜いた、「川崎ボッチャーレ」との対戦。
川崎市職員がメンバーということで、公務員対決となりましたが、「川崎ボッチャーレ」は東京カップ2021で優勝している超強豪で、いきなりの大一番です。

競技開始前。初戦を前に緊張の面持ち

第1エンド

先行となったJBPは、県大会と同様にで1番BOXの選手がサイドの近めにジャックボールを置く戦法をとり、ジャックファースト(ジャックボール後の1球目)はくっつきはしないものの、悪くない位置に置きます。
しかし、相手はこのわずかな隙間を見逃してはくれず、1球目をジャックボールとの隙間に入れられてしまいます。
早めにこの状況を打開したいJBPでしたが、近くにはいくものの、中々逆転に持っていけず、結局残りの5球を使いきってしまいます。
それでも、ジャックボールの手前に多くのボールを固めており、最小失点で凌げる構図かと思われましたが、そこはさすがの優勝経験者。
2球目のヒットでジャックボール手前のJBPのボールがはじき出され、3球目はコースの空いたジャックボールにヒットさせ、アウトボールとし、ジャックボールはがら空きのクロスボックスへ。
残りの3球を難なく寄せた川崎ボッチャーレが3点を先制します。

JBP2球目。相手のナンバーワンを崩せず苦戦します。

アウトボールとなりクロスボックスに置かれるジャックボール

第2エンド

川崎ボッチャーレは2番ボックスの選手が対角にジャックボールを投じます。続いてのカラーボールは少しジャックボールと隙間が空き、ここでJBPの1球目がジャックボールに着けて逆転します。
しかし、優勝経験者は全く動じず、2球目でJBPのボールをプッシュで押し出した上にナンバーワンを奪い返します。
JBPは2~4球目を外してしまいますが、5球目でジャックボールと相手ボールの間に挟みこむナイスプレーをみせます。
これで少しは相手に球数を消費させられるかと思われましたが、結局1球でナンバーワンを奪い返されてしまい、この後の最後のJBPのボールは寄せることができませんでした。
貪欲に得失点差を稼ぎにくる元王者は残りの4球も完ぺきな投球を見せて、このエンドは大量5点。トータル8対0で川崎ボッチャーレの勝利となりました。

第2エンド終盤の様子

得点版

敗戦スタートなりました

川崎ボッチャーレは選手によってボールの素材や硬さを使い分けており、熟練度の高さがうかがいしれ、JBPの選手も未知のレベルの高さに面食らった様子でした。

試合後に健闘を称え合い記念撮影

第2試合 vs「火ノ玉コーチレッド」

続いての対戦は日本ボッチャ協会ナショナルチームのコーチ陣で編成された特別チーム「火ノ玉コーチレッド」。日本代表の井上監督も含まれた日本で最も「ボッチャを知りつくした」チームといえるでしょう。
このゲームには出場しませんでしたが、パリパラリンピックに内定している遠藤裕美選手(BC1)もチームメンバーとしてコートエンドから声援を送っていました。

この試合前は相手のチームとの会話でリラックスした様子。一番左が井上監督

コーチチームは試合前に円陣で気合をいれます。一番右が遠藤選手

第1エンド

先攻としてジャックボールの権利を持つ第1エンドは、第1試合と作戦を変更し、7m付近中央でのやや遠距離戦を選択しますが、ジャックファーストを1m以上後方へ逸らしてしまいます。
次の相手の1球目も後方に逸れ、ターンオーバーにはなりましたが、ジャックボールはがら空きの状況。
ここでJBPの2球目がジャックボール手前数cmまで寄せます。
相手の2球目以降のアプローチやヒットは上手く決まらず、結局最後の6球目のヒットでナンバーワンを何とか奪回します。
JBPは3、4球目で自チームのボールを押してジャックボールに近づけるプッシュが成功し、ナンバーワンを確保。
複数得点を狙いところでしたが、ジャックボールの後ろにある相手ボールが気になったことから、リスクを回避し、残りをノースローとして1点を先制します。

相手が球を使い切った直後のJBPの3球目

JBP3球目直後のボールの様子。4球目のプッシュでナンバーワンを奪います。

第2エンド

相手チームがジャックボールの権利を持つ第2エンドは、ジャックボールがVラインの頂点付近に置かれ、第1エンドと変わって超近接戦となります。
かなり近い位置ということもあって、序盤はヒットとアプローチの応酬で目まぐるしくファーストボールが入れ替わります。
しかし、JBPはジャックボール前が混みあってきた4球目以降で状況を打開できず、相手が2点の状態で6球を使いきります。
相手チームの残り3球の投球後も状況は変わらず、このエンド「火ノ玉コーチレッド」が2点獲得。

ジャックファースト直後の様子。近接戦となります。

JBPの6球目。密集を崩しきれませんでした。

トータル1対2で悔しい逆転負けとなりました。

試合後は代表コーチからボールの違いや戦術について指導をいただき、より、ボッチャのチームメンバーはボッチャの奥深さを実感しました。

予選リーグは折り返し。後編へ続きます!